元ディーラー営業マンが教えるローンの選び方

こんばんは、元ディーラー営業マンのユースケです。
「新しい車、かっこいいな!」 「でも、何百万もするなんて、どうやって払えばいいんだろう…」
車を買うときって、ワクワクと不安が入り混じった、独特な気持ちになりますよね。特に、車の支払いをどうするかは、誰もが頭を悩ませるポイントだと思います。
私がディーラーの営業マンをしていた頃、お客様との商談で最も時間をかけて説明していたのが「支払い方法」でした。その中でも、特に私が力を入れて提案していたのが「残価設定型クレジット(通称:残クレ)」です。
なぜなら、残クレは、ディーラーの営業マンにとって「月々の支払いを安く見せて、ワンランク上の車を売るための最強の武器」だったからです。
しかし、営業マンとして「契約をいただきたい」という気持ちがある一方で、一人の人間として「このお客様は、本当に残クレがベストな選択肢なのだろうか?」と、心の中で葛藤することも少なくありませんでした。
なぜなら、ディーラーの営業マンが教えてくれない、残クレの「本当の姿」を知っていたからです。
今回は、私がディーラーの舞台裏で見てきた「ホンネ」も交えながら、皆さんが車選びで後悔しないための、賢いローンの選び方について、徹底的に解説していきます。
なぜディーラーは「残クレ」を強く勧めるのか?
皆さんがディーラーに行くと、営業担当者は、100%の確率で残クレを提案してきます。
その理由は、単に「お客様のため」だけではありません。残クレは、ディーラーにとって複数のメリットをもたらす、非常に都合の良いシステムだからです。
メリット1:月々の支払いを劇的に安く見せられる
残クレは、数年後の車の価値(残価)をあらかじめ設定し、その残価を差し引いた金額をローンで支払います。
例えば、300万円の車で残価を100万円に設定した場合、あなたは200万円に対するローンを組むことになります。そのため、月々の支払額が劇的に安くなり、お客様は「この車なら手が届く!」と錯覚しやすくなります。
この「月々の支払いが安い」という魔法の言葉は、営業マンにとって、お客様の心理的なハードルを下げ、高額な車を売りやすくする最強の武器なのです。
メリット2:お客様を「囲い込み」、将来も売上が見込める
残クレの契約満了後、お客様は以下の3つの選択肢から選ぶことになります。
- 車を返却して、新しい車に乗り換える
- 残価を支払って、車を買い取る
- 再ローンを組んで、そのまま乗り続ける
この3つのうち、最も多いのが「1. 新しい車に乗り換える」です。なぜなら、残クレは走行距離の制限や、車の状態に関する規定があるため、それを気にせず乗り続けるなら、新しい車に乗り換えた方が楽だからです。
つまり、ディーラー側から見れば、残クレは数年後に確実に新しい車を売るチャンスを生み出す、「お客様の囲い込み戦略」なのです。
メリット3:ディーラーローンの金利は高い
ディーラーが提供するローンの金利は、銀行のマイカーローンに比べて高めに設定されていることがほとんどです。
一般的なディーラーローンの金利は4.9%〜5.9%程度ですが、銀行のマイカーローンでは、2.9%やさらに低い金利のローンが見つかることもあります。
この金利差は、ディーラーにとって大きな利益となります。営業マンが残クレを強く勧める背景には、こうしたディーラー側の「都合」があることを知っておく必要があります。
営業マンが教えない「残クレ」の5つの罠
残クレは、月々の支払いが安くなるという大きなメリットがある一方、お客様が損をしてしまう可能性のある「5つの罠」が潜んでいます。
1. 総額で比較すると、実は割高になることが多い
残クレの最大の罠は、「総額」で比較しないと、本当の費用が見えてこないことです。
月々の支払額だけを比較すると、銀行のマイカーローンよりも安く見えます。しかし、残クレは、残価分にも金利がかかっています。つまり、あなたが借りているのは「残価を引いた分」ではなく、「車の総額」なのです。
この「残価にも金利がかかる」という事実を詳しく説明する営業マンは、ほとんどいません。なぜなら、それを説明すると「なんだか損をしているな…」という印象を与えてしまい、契約が遠のいてしまうからです。
2. ローンが「永遠に」終わらない可能性がある
残クレで車を購入し、契約満了後も乗り続ける場合、残価分を再度ローンで組むことになります。その際の金利は、最初の契約時よりも上がることが一般的です。
つまり、5年間の残クレ契約でも、車を完全に自分のものにしようとすると、さらに2年、3年とローンを払い続けることになり、結果的に「永遠にローンが終わらない」という事態に陥る可能性があるのです。
3. 所有権はディーラーにあり、カスタマイズや売却は自由にできない
残クレの期間中、車の所有権はディーラーにあります。
これは、リフォームでいうと「まだ工事代金を全額支払っていない状態」と同じです。
そのため、車を自由にカスタマイズしたり、事故を起こした際の修理にも制限があったりします。そして、もし契約期間中に車を売却したくなっても、自由に売ることはできません。
4. 走行距離や車の状態に制限がある
残クレの契約には、必ず「走行距離の制限」と「車の状態に関する規定」が盛り込まれています。
もし、設定された走行距離をオーバーしたり、車の内外装にキズやヘコミがあったりすると、契約満了時に「追加料金」を請求されることがあります。
せっかくの愛車なのに、ドライブに行くたびに走行距離を気にしたり、駐車するたびにキズがつかないかハラハラしたりするなんて、なんだか本末転倒ですよね。
5. 審査が甘い傾向にあるため、無理な買い物をしてしまう
ディーラーローンの審査は、銀行のマイカーローンに比べて、比較的甘い傾向にあります。
これは、ディーラーが「少しでも多くの人に車を買ってもらいたい」と考えるからです。そのため、本来であればあなたの年収に見合わないような高額な車でも、ローンが組めてしまうことがあります。
ディーラーの営業マンは、「お客様は買えるんだから大丈夫だろう」と考えます。しかし、その結果、無理なローンを組んでしまい、将来の家計を圧迫してしまうのは、あなた自身なのです。
元営業マンが教える!後悔しない車の買い方
では、どうすれば後悔しない車の買い方ができるのでしょうか?
それは、ディーラーに行く前に、「武器」を用意しておくことです。
私がディーラー時代に「このお客様、手強いな…」と感じていたのは、事前にしっかりと調べてから来店されるお客様でした。
1. 事前に「銀行のマイカーローン」を調べておく
車は、ディーラーだけで購入するものではありません。銀行でも、車を購入するための「マイカーローン」を組むことができます。
銀行のマイカーローンは、ディーラーローンに比べて金利が低い傾向にあります。この金利差は、車の購入金額が大きくなればなるほど、返済総額に大きな差を生み出します。
事前に複数の銀行の金利を調べておき、自分の借入可能額と金利の相場を把握しておきましょう。
2. 「クラウドローン」を活用して、最強の武器を手に入れる
「でも、たくさんの銀行を調べるのは面倒だな…」
そう思った方におすすめしたいのが、「クラウドローン」というサービスです。
このサービスを使えば、あなたの年収などの情報を入力するだけで、全国の銀行から最適なローンの提案が届きます。
- 手間がかからない: 複数の銀行の仮審査を、一度の入力で済ませることができます。
- 信用情報に傷がつかない: 銀行の仮審査を何度も受けると信用情報に傷がつく可能性がありますが、クラウドローンは保証会社が審査を行うため、その心配がありません。
- 低金利のローンが見つかる: ディーラーでは見つけられないような、驚くほど低い金利のローンが見つかる可能性があります。
この「クラウドローン」で事前に得た、あなたの借入可能額と低金利のローンの情報を、ディーラーとの商談時に見せてみてください。
「銀行のローンで、〇〇万円まで借り入れ可能で、金利は〇%でした」
そう言われた営業マンは、安易に残クレを勧めることができなくなります。そして、あなたは冷静に、ディーラーローンの総額と銀行ローンの総額を比較し、どちらが本当に得なのかを判断できるようになります。
まとめ:あなたは「カモ」ではなく「お客様」です
いかがでしたでしょうか。
ディーラーの営業マンは、あなたの「車が欲しい!」という気持ちを利用して、自社の利益を上げようとします。それは、営業として当然のことです。
しかし、あなたは「カモ」ではありません。
「自分にとって本当に良い買い物とは何か?」を冷静に判断できる、賢い「お客様」です。
車は、あなたの人生を豊かにしてくれるものです。その愛車が、将来の家計を圧迫する「重荷」にならないように、今回ご紹介した知識をぜひ活用してください。
事前の準備を怠らないこと。それが、あなたが本当に納得のいくカーライフを送るための、最初の一歩なのです。
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