皆さん、こんにちは!「もう何年も同じ車に乗っているんだけど、最近自動車税が高くなった気がする…」「13年を過ぎると税金が増えるって本当?」「どうして古い車ばかり増税されるの?」
愛車と長く付き合っている方なら、一度は感じたことがあるかもしれません。新車登録から13年以上経過した車は、自動車税や自動車重量税が増税される「経年車重課」という制度の対象となります。この制度は、私たちの家計に直接的な影響を与えるため、その理由や背景について正確に理解しておくことが非常に重要です。
「この増税は、本当に環境保護のためなの?」「古い車を長く乗ることは、エコじゃないの?」「今後の自動車税はどうなるの?」
今日は、そんなあなたの疑問や不安を解消するために、経年車重課の仕組みから、国の主張に対する批判、そして今後の自動車税の展望まで、徹底的に解説していきます。この知識があれば、あなたは愛車との付き合い方をより賢く、そして納得のいく形で考えることができるでしょう。
さあ、古い車に乗り続けることのメリット・デメリットを正しく理解し、未来のカーライフに備えましょう!
自動車税の歴史と経年車重課の仕組み
まず、私たちが毎年支払っている「自動車税」が、どのような背景で生まれ、どのような仕組みで増税されるのかを見ていきましょう。
1. 自動車税のルーツと課税の仕組み
自動車税の歴史は古く、明治時代にまで遡ります。そのルーツは、1873年に制定された「車税」という制度で、馬車など車輪のついた乗り物が道路を破損させるため、その修繕費を賄う目的で始まりました。
- 地方税としての性質: 現在の自動車税や軽自動車税は、住民税などと同じく地方税であり、都道府県や市区町村の財源として使われています。
- 財産税の一面: 車を所有しているだけで課税されるため、「財産税」の一面も持っています。したがって、たとえ車を全く使用していなくても、納税義務が発生します。
- 課税額の基準:
- 普通車: 総排気量に応じて、税額が10段階に分けられています。排気量が大きいほど、税額も高くなります。
- 軽自動車: 排気量に関わらず、一律の税額となっています。
2. 経年車重課(増税)の制度
この制度は、2001年に導入され、新車登録から一定期間が経過した車に対する税金を割り増しする仕組みです。
- 自動車税:
- 増税対象: 新車登録から13年が経過した車が対象となります。
- 増税率: 当初は約10%の増税でしたが、2014年の税制改正で**約15%**に引き上げられました。
- ディーゼル車の特例: 環境負荷が大きいと見なされるディーゼル車は、ガソリン車よりも早い11年経過で増税対象となります。
- 自動車重量税:
- 車検時に支払う自動車重量税も、経年車重課の対象です。
- 13年経過で増税され、さらに18年経過すると、再度増税されます。
- 軽自動車への適用:
- 2015年度からは、軽自動車も経年車重課の対象となりました。
- 軽自動車の増税率は普通車よりも高く、**約56%**という大幅な増税となっています。
このように、年式が古い車を所有し続けると、私たちは税金面で大きな負担を強いられることになります。
国の主張と、その主張が抱える根本的な問題点
なぜ国は、古い車への税金を高くするのでしょうか?その理由として、国は「環境保護のため」と主張しています。
1. 国の主張:グリーン化特例とエコカーへの乗り換え促進
国は、この経年車重課の制度を「グリーン化特例」の一環として位置付けています。
- 主張の要点:
- 古い車は燃費が悪く、排気ガスを多く排出するため、環境負荷が高い。
- 税金を高くすることで、古い車の所有者にエコで環境性能の高い新しい車への乗り換えを促す。
- 逆に、環境性能に優れた「エコカー」に対しては、税金を軽減する措置(エコカー減税)を講じることで、国民全体のエコ意識を高める。
一見すると理にかなった主張のように思えますが、この主張には、いくつかの根本的な問題点があると指摘されています。
2. 国の主張に対する3つの批判
国の主張は、以下の3つの理由から現実と乖離しており、その正当性が疑われています。
- 批判1:新車製造による環境負荷を無視している
- トータルでの環境負荷: 新しい車を製造し、輸送する過程で、多くの温室効果ガスが排出されます。一方で、古い車を修理しながら大切に乗り続けることは、新たな資源を消費しないため、トータルで見た場合に、むしろ環境に優しい可能性があります。
- 廃棄物の問題: 古い車を廃車にする際にも、多くの廃棄物が発生します。これらの廃棄物を処理する過程にも、環境負荷がかかります。
- 結論: 国の主張は、車の「走行時」の環境性能しか見ておらず、車の「ライフサイクル全体」で考えた場合の環境負荷を無視しているため、説得力に欠けます。
- 批判2:厳格な車検制度の存在を無視している
- 日本の車検制度: 日本では、車を公道で走らせるために、2年に一度(新車時は3年)の厳格な「車検」を受けることが義務付けられています。
- 排ガス検査: 車検では、排気ガスの成分が基準値を満たしているかどうかの検査も行われます。この基準を満たせない車は、車検に合格することができず、公道を走ることはできません。
- 結論: そもそも環境性能が基準を満たさない車は、車検に合格しないため、古い車だからといって、環境性能が低い車が無制限に公道を走っているわけではありません。この制度は、日本の優れた車検制度の存在を無視していると言えるでしょう。
- 批判3:古い車と新しい車の環境性能差が限定的になっている
- 技術革新の鈍化: 自動車の燃費性能や排ガス性能は、1990年代から2000年代にかけて劇的に向上しました。しかし、ここ最近は技術の進化が鈍化しており、13年前に製造された車と最新の車の環境性能に、それほど大きな差がない場合も増えています。
- 結論: 13年という一律の基準で「古いから環境性能が悪い」と決めつけ、税金を増やすことは、現実の技術進歩の状況を反映していない可能性があります。
これらの批判から、経年車重課は「環境保護」という名目を利用した、単なる「税収確保」のための制度ではないか、という声も多く上がっています。
今後の自動車関連税はどうなる?制度改正の可能性と私たちの未来
このような批判を受け、現在、自動車関連税の見直しや改正に向けた議論が進められています。
1. 自動車税廃止と新たな課税制度の可能性
将来的に、現在の「自動車税」が廃止され、車の重量に応じた課税制度に変わる可能性が示唆されています。
- EV車の増加: 近年、電気自動車(EV)が増加しており、EVは排気量が0であるため、現在の排気量課税制度では税金が安くなります。しかし、EVはバッテリーを搭載しているため、ガソリン車よりも車両重量が重くなる傾向があります。
- 新たな課税基準: このため、今後は排気量ではなく、車の「重量」を課税基準とすることで、EVからも公平に税金を徴収しようとする動きがあります。
- 問題点: しかし、この変更は、古い車や燃費の悪い車への増税がさらに強まる可能性も秘めています。新しい制度が導入されれば、私たちの負担がさらに増加するかもしれません。
2. 私たちに求められる対策と今後の展望
このような制度改正の動きの中で、私たちはどのように備えれば良いのでしょうか。
- 車の所有期間を再考する: 13年という増税の基準年を一つの目安として、車の買い替え時期を考えるのも一つの方法です。
- メンテナンスを怠らない: 古い車に乗り続けるのであれば、定期的なメンテナンスを怠らないことが重要です。これにより、車のコンディションを良好に保ち、燃費や環境性能の悪化を防ぐことができます。
- 独自の課税制度提案: 将来的な課税制度のあり方として、車を絵画や骨董品のように、市場価値(時価)に応じて課税する「時価課税制度」も提案されています。これにより、古い車でも愛好家にとっては価値があるという点を評価し、公平な課税を目指すという考え方です。
私たちは、国の税制や政策に一方的に従うだけでなく、その内容を正しく理解し、疑問を投げかけることも重要です。私たちの声が、より公正で納得のいく制度へと繋がる可能性を秘めているのです。
まとめ:経年車重課を正しく理解し、賢い選択を
新車登録から13年経過した車に増税される「経年車重課」は、一見すると環境保護のための合理的な制度に見えます。しかし、その裏側には、新車製造の環境負荷や厳格な車検制度の存在など、様々な問題点が隠されています。
今日お話ししたポイントをもう一度確認してみましょう。
- 経年車重課の仕組み:
- 2001年に導入され、新車登録から13年(ディーゼル車は11年)経過した車が対象。
- 自動車税は約15%、軽自動車税は約56%増税される。
- 自動車重量税も13年、18年経過で増税される。
- 国の主張と批判:
- 国の主張: 古い車からエコな車への乗り換えを促す「環境保護」のため。
- 批判: 新車製造の環境負荷を無視、日本の車検制度を無視、最新の車との環境性能差が限定的であることなど。
- 今後の展望:
- 自動車税が廃止され、EV車増加に伴い「重量課税制度」へ移行する可能性。
- この制度変更が、さらなるユーザー負担増に繋がる懸念もある。
古い車を大切に長く乗り続けることは、多くの人にとって愛着のある選択であり、経済的にも、トータルで見た場合の環境負荷の面でも、必ずしも悪い選択ではありません。私たちは、国の制度を正しく理解し、その上で自分にとって最適な選択をすることが求められています。
このガイドが、あなたが愛車との付き合い方を考える際の一助となり、より賢く、そして納得のいくカーライフを送るための一歩となれば幸いです。
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